231201

忙しい日が続いたなあと思い、時間ができたので久しぶりにブログを開く。前回更新したのは3日前くらいだったよな、と高をくくりながら開くと、一週間も更新していなかった。

先日、保見団地のNPOに委託してもらった"ものを作ることを介して色々なことを考える授業"の全4回が終了した。先方からの依頼は、ブラジル人学校に通う高校生と4回(各2時間)の授業を通してピザ窯を作ってほしいとのことだった。ついでに、デザインを学べる授業みたいなこともしてほしいとのこと。困った。自分のデザインスキルは、誰かに教えるというほどのものでもないし、一方的に何かを教えるスタイルはできない。要望にそこそこ応えつつ、全4回の与えられた時間を通して、自分たちの日常生活を少し豊かにするスキルを一緒に考えたいと思った。結果的に授業ではなく、ものを作りながら考える"会"になった。

1回目では、デザインの座学をしてほしいと言われたので、"デザイン≒何かを解決するもの"だとして、身の回りの不便を解決するための仕掛けを考えてもらった。考えたアイデアを絵にしてもらい、どのようなデザインをしたのか他の人たちに絵から予想してもらう会にした。デザインってなんだろうという部分は多少共有できたとは思うが、あまり楽しくなさそうだったのでよくなかった。もう少しものを作る方向に振り切ったほうが良かった。とはいえ、ブラジル人学校に通う学生の雰囲気がわかった。もとから知っていたが、話し合いがめちゃめちゃ活発にできるし、みんなで何かやることもできる。
2回目は、1/10サイズのレンガ模型(スタイロフォーム製)を使い、模型を作った。2つのグループをつくり、グループごとに一つの模型を作ってもらった。最終的に作るピザ窯はセメントで固めないでほしいとのことだったので、接着剤を使わずに積み上げてできる形を検討してもらった。素材に対する感度が凄く高い提案も出てきて驚いた。委託してくれた方は、へりくだりも含めてだと思うが、ほんとにみんなセンスがないんですと言っていたが、全くそんなことはなかった。
3回目は、模型から材料の数量を拾い、買い出しに行った。買い出しでは、誰かに指示されてから始める作業は皆渋々なのだが、学生の誰かが自発的に巻き込まれる作業は、みんな物凄い勢いで協力してくれた。レンガブロックを120個買い、それを車に載せて運ぶ必要があったのだが、その作業は、ほんとに全部のレンガが載るかどうかのひりひり感と、テトリス的な楽しさが相まって、物凄い集中力と協力で作業が進んだ。徐々にブラジル人学校に通う彼らに、共通のスタンスがあることがわかってきた。その一つは、指示されるのが嫌いで、特に指示を出す人が指示を出した後に協力していない状況を見ると露骨にむかつくということだ。すごく良いと思った。先生-生徒といった関係性以前に、人対人として対等に扱われるかを注意深く見ている。
4回目は、ついにピザ窯を制作し、ピザを焼いた。模型で検討した通りの物はできないと分かり、実物で試行錯誤の上、なんとか完成した。グラインダーで鉄の3mm厚のLアングルを切ってもらったりもしたが、本当にうまい。ピザ窯の温度が上がりきらないとわかるとすぐに、畑の粘土と水を混ぜ、左官材にして窯の隙間にねじ込んだり、ピザの仕上げの焼きは、スコップにアルミホイルを巻き、その上にピザを乗せて、スコップを直火に当てて仕上げたり、素材を固定観念をなくして使う工夫をしてくれていた。固定観念かもしれないが、やはりラテンにゆかりのある人たちはDIYのスキルは高い。多分、普段家族とのBBQとかで彼らの親が既製品に頼らずに、焼き場を作っているのとかを目の当たりにしているのではないか、と想像している。必ずしも自分でデザインをしたいという気持ちがあるわけではないこともわかった。どちらかといえば、やったことをないことをしてみたり、彼ら自身のアイデアが入り込む余地があったり、指示せずともやりたくなる仕掛けを考えることが大事だと思った。もっと難しいものを一緒に作ってみたい。